3月16日にリリースされたLIVE DVD & Blu-ray『2015 arena tour L－エル－』は、2015年の3月から約9か月に及んだ「2015 tour L－エル－」のアリーナツアー最終日・日本武道館公演を収録した、今年1月からの3ヶ月連続リリースを締めくくるライヴ映像作品である。

DISC1では、MCに至まで、Acid Black Cherryのライヴの魅力が余すことなく収録されている本編を楽しむことが出来き、DISC2では、アンコールの全てと、普段は見ることの出来ないライヴ当日の会場入りから本番までの舞台裏や、ハイライト映像が楽しめる。

9ヶ月に及んだツアーに完全密着した貴重な映像の中には、ステージをより理想型に近づけるためのスタッフとの打ち合わせで見せる、yasuのクリエイターとしての厳しい一面なども映し出されている他、Acid Black Cherryのサウンドを支えるYUKI（G）、HIRO（G）、SHUSE（B）、淳士（Dr）との息の合った、激しくも艶やかなステージングや、終演後に見せる無邪気な笑顔も収められている。そこには、Acid Black Cherryとしてステージに立つアーティストとしてのyasuの姿はもちろんのこと、yasuという人間性そのものが映し出されていると言っても過言では無い。

アルバムツアーとして行なった今回のライヴの在り方は、yasuの音楽家としての才能と、ストーリーテラーとしての才能が注ぎ込まれた、ストーリー性の強いアルバムの具現化であったと言える。映画の1シーンを切り取った様なストーリーに導く映像たちがオープニングと中盤に差し込まれ、オーディエンスをより深く『L－エル－』の世界へと誘ったのだ。

エルの人生の回想シーンから幕を開けたライヴは、エルの歌声からyasuの唄声へと繋がれたストーリーから現実への回帰。ライヴではいつも以上に生っぽいパフォーマンスと唄で会場を盛り上げ、中盤に差し込まれた映像で、波乱万丈なエルの一生を平行して魅せていったyasu。それ故に、いつも以上にそこに“人生”を感じたのかもしれない。

7曲目に届けられた「INCUBUS」の後に差し込まれた『scene〜悪夢から救う手〜』と題された映像で、現実からストーリーの世界へと誘い、「Round & Round」から再びライヴの第二幕が始まっていくという印象を受ける。

このライヴの最後のMCでyasuが届けた“きっと、みんなの人生の中にも、辛いことも楽しいこともいっぱいあると思うけど、人生のピークを決めるのは自分次第やと思うからね。エルちゃんのように、愛されることを辞めずに、自分の夢に向かって一生懸命頑張ってほしいなって思います”という言葉は、『L－エル－』を通してyasuが伝えたかったことなのではないだろうか。

Writer 武市尚子